ラテン語は広く欧州知識人の公用語として用いられた。ラテン語で執筆されているし、デカルトの有名な「我思う、ゆえに我あり」(Cogito, ergo sum コーギトー,エルゴー・スム)もラテン語である(実際には、デカルト自身がラテン語で「我思う、ゆえに我あり」と著作に記したわけではない。彼の著作にはフランス語で書かれたものとラテン語で書かれたものがあり、「我思う、ゆえに我あり」はフランス語で書かれたほうの書物の一節である)。近年ではAnnus Horribilis(アンヌスホッリビリス、ひどい年)とラテン語を使ったことが有名である。だが、ラテン語は今日の欧州ではそれほど使われていない。学名はラテン語もしくはギリシア語単語をラテン語風につづり変えたものでつけられるのが通例で、地位を保っているこれも、ゆれが無く、同一性を保てるラテン語の利点を活かしている。国は、バチカン市国1ヵ国だけである。ラテン語が公用語に採用されているためである。そのバチカン市国でも、ラテン語が用いられるのは公式会見のみで、日常生活ではイタリア語が用いられる。